サージャント・グリズリー


第9回えんため大賞特別賞受賞作。頭はハイイログマのぬいぐるみ、マッチョな身体に軍服、その名はグリズリー・軍曹。なのに主人公以外には美少女に見えると言う設定が既視感ありありでしたが、表紙の熊に惹かれたのかなぁ。つい買ってしまいました。


主人公には熊、それ以外には美少女に見えると言う設定ですが、D.C.紫和泉子にそっくりですよね。そして、軍隊帰りの軍曹が普通の学校で暴れるという設定は、まんまフルメタ。これで面白ければ別に良いんですが、実につまらない。最初の数十ページはベタな展開ながら割と面白かったのですが、それ以降はグダグダです。


まず、登場するキャラクターが多すぎますね。300ページ弱のライトノベルで、主要キャラだけで10人は多すぎるでしょ。主人公のグリズリー・軍曹ですら描写不足は否めないのに、他のキャラについては推して知るべしといった感じ。シリーズ物の2巻目以降で出てくるようなキャラを出しすぎです。


そして、キャラクターが多すぎる事に反比例する形で、ストーリーは実に薄っぺらい。キャラクターを登場させるためなのか、普通のライトノベルなら3、4冊かけてやるような話を1冊に詰め込んでますからね。伏線っぽいものも全部投げっぱなしですし。


それ以外の面でも、全体的に非常にあらの多い作品でした。キャラの口調は一定しないし、状況の描写もかなり下手。特に最後の戦闘シーンなんかは、ホント酷いものでしたよ。


なんと言うか、まさに特別賞と言うべきなんでしょうかねぇ。まさか受賞作そのまま本にした訳でもないでしょうに、この出来とはなぁ。編集は何をしてたんだろう。久しぶりに自信を持って酷いと言える本を読みましたよ。